一人での努力などたかが知れているのだと限界を感じたからこそ大貴族のアリ家の支援を受けることにした。

 

その手段として婚姻を選んだが、本物の婚約者だったレイラは逃げ出し身代わりの女と婚姻を結ぶことになるとはなんの因果だか。

 

なぜ彼女が私の妻になったのか真意は知りようがない。

 

栄耀栄華なのか贅沢な暮らしなのか・・もしくは私の愛・・とかな。

しょせんは身代わりだが偽物の私には相応しいのかもしれない。

どのようなつもりにせよこれからの彼女の行いに全てがかかっていた。

 

立ち居振る舞いは洗練されていたが、どうやら彼女は貴族ではなく庶民のようだし、美しい女だが驕ったところもない親しみやすい女だった。

 

なによりも初夜でその初心さ加減を痛感することになった。

 

何食わぬ顔で彼女を抱いたが、内心冷や汗ものだったのは内緒だ。

 

その気まずさもあって2か月間彼女には触れていなかったがそろそろ我慢も限界だった。

 

相手が妻だけに気を使うのは当然だし、いかに夫であっても即物的に求めるのはまずい。

 

ただでさえ初夜では泣かせてしまったからな・・

 

そんなことを悶々と抱え込みながら仕事に精を出していたが、折にふれレイラの様子は女官長のダーラから報告を受けていた。

 

大きな変化は見受けられないということではあったが、それは彼女がうまく動揺を悟られまいと隠しているからだとダーラは言った。