「私には意気消沈してるように見受けられますね・・無理もありません」

 

女同士だからか通じ合うものがあるのだろう。いやそれとも密偵ゆえの情けなのかもしれないな。

 

だがその感覚には私も覚えがあった。

突然王になったからと言って万事順調などということはない。

権力があってもできぬことはあるし、阿る者達が本音を隠すから疑心暗鬼にもなる。

 

いかにストレスが溜まろうと品性は保たねばならない。

そうして気疲れが溜まり心が疲弊した時にふと手放したものを惜しんでしまう。

 

その繰り返しだったさ・・

 

だからこそレイラに成りすましたまま王妃になってしまった彼女の葛藤や苦悩がわかってやれた。

 

しかも王は施政という偉業を成さねばならないが王妃の務めはまずは世継ぎを産むことだからな。

 

留守がちで不在な夫のせいで彼女が陰口をたたかれるのは不憫でならなかったから一計をこうじることにした。

 

折しも兼ねてから交渉をしていたカマルを国の管理下に置く機会が巡ってきたからだ。

 

代理人を通じて長らく交渉を進めてきたが、ついに一夜限りの舞妖妃の特別公演を観覧できることになったのだ。

 

これまでの経緯から妻の正体がカマルの踊り子舞妖妃だと私は睨んでいた。

 

時期を同じくして彼女は失踪しており、その主と思しき店主も失踪中だった。

 

レイラとは一度だけ婚約の宴で踊ったことがあったが華麗に舞う姿が強く印象に残っているくらいだ。