けっして嫌味のつもりはなかったけど王は鼻を鳴らされた。
「ふん・・それはこちらのセリフだ。てっきりそなたは逃げ出すかと思っていたがどんな心境の変化やら勘繰りたくもなるというものだ」
そう・・・でしょうね。
一生偽物として偽りの名で生きていく覚悟が決まったかというと揺らいでしまう。
だって私はシリーンだもの。
だけど・・貴方の傍にいたいの・・・だから
「逃げたりしませんわ。私は貴方の妻になるためにここに来たのですから・・だから名実ともに夫になってください」
あえて誘惑はせずに、ライザール様の心情に訴える。
それは王の意にも適っているはず・・これからもこうして駆け引きをしなければならないけど今の私にできる最大限の譲歩だった。
やがて王は納得されたのか、頷かれた。
「いいだろう・・私もそれでかまわない。ではこちらに・・」
ああ・・・いよいよだわ・・どうしよう・・![]()
演技ではない恥じらいで頬が上気してしまうのを止められそうもなかったけど、初々しい私の態度にライザール王も満更ではなかったみたい。