※ライザール視点です

 

私達はやはり似た者同士なのだろう。自分の仕事に誇りを持ち、誰かのために骨身を惜しまない。

 

王として女の密偵の採用は認められないが、愛するシリーンだからこそせめて恋人として理解を示し、労わってやりたかった。

 

なにより今回のシリーンのスタンドプレーが功を奏した予感があった。

 

敵の狙いが私ならばシリーンを利用するだろうからだ。

 

目的もおおよその見当がついていた。

店主は私の血で病を治しているのだとシリーンは言っていた。

 

そのような邪道がこのシャナーサで行われているなど信じがたいが、店主がフレイン帝国出身らしいことは調べがついていた。

 

訛りはないがあの博識ぶりや彼の自室に置かれた医療器具からそうだと当たりをつけライザに調べさせたから間違いない。

 

そう考えると我が国も法整備を急いだほうが良いのかもしれない。

 

とはいえタトゥーを使い男を誘惑したからといって当人同士の同意があるならば罪には問えまい。

 

私だって他人ごとではないからだが・・・

だが違法性はともかくシリーンに危害を加えないとも言い切れない以上放置はできなかった。

 

世界は広い。王族の末裔など探せばいくらでもいるだろうし、シリーンの持つタトゥーが暴走すれば損害は計り知れない。

 

なによりも大切なシリーンが他の男共に傷つけられるのをむざむざ見過ごす気は金輪際なかった。

 

 

2021年4月2日公開