※ライザール視点です

 

苦い経験を経て私も忍耐を学んだし、シリーンはシリーンで踊り子として酸いも甘いも嚙み分けた女だったが、互いを信頼して自然体でいたからこそ思いがけず良好な関係が築けたのだろう。

 

きっかけはどうあれな・・・

 

シリーンがタトゥーを使った時は憤ったが、すぐに己の過ちを悟った彼女は私へのアプローチを変えた。

 

だから私なりに常にシリーンの本性を見極めてきたつもりだ。

彼女こそ長年私が探し求めていたピースだった。私の心に潤いをもたらしただけではなく謎を解明する上で重要なキーパーソンだったのだ。

 

シリーン自身はあのタトゥーがなぜ生じたのかは知らなかったが、それがたまたま主である店主の意に適っていたなどと偶然がすぎるというものだった。

 

あの男はなんらかの事情を知るに違いない。

そう思いながらも私があえて追及をしなかったのは、知ったところで私とシリーンの関係に影響がないからだ。

 

真実の愛を手に入れればあのタトゥーを無効化できるというならば、私の本気を見せればいいだけだった。

 

私達の間にあんな無粋なものはいささかも必要ない。

 

シリーンをこの腕に抱いて以降、いっさいよそ見はしていないし

それは今後も変える気はない。

 

やっと出会えたシリーンを唯一無二の妻に迎えて家族になることが私の望みだった。

 

その為の努力は怠らないし、そろそろ過去の因縁を清算するべきなのだろう。

 

 

 

2021年4月2日公開