暗殺のことは知らなかった。だけど言い逃れはできないまずい状況だった。
これからどうなるのかわからなくて心細かったからカルゥが残ってくれたことは嬉しかったの。
だからライザール様が戻られるまでの間、カルゥ相手におしゃべりをしたわ。
初めてカルゥを見た時は驚いた。でもなぜか知らないけれどカルゥは私にひどく懐いてくれたから私も悪い気はしなくて気づいたらとても心を許すようになっていた。
「お前のご主人様、早く戻ってこればいいのにね・・」
話しかけるとカルゥが小さく鳴き首をもたげる。
恐ろしい猛獣だけど懐けば可愛いかもしれないわ。
けれど縛られた腕が痛くてうまく微笑むことができなかった。
縄抜けは得意だけど・・せめてもの償いがしたかったから私は大人しくライザール様の帰りを待ちわびることにした。
「まさか・・こんなことになってしまうなんて」
まだ混乱していて気持ちの整理がつかなかった。
けれどライザール様を選んだことにやはり後悔はなかった。
「無事・・・戻ってくださるといいけど・・お前もそう思うでしょう?
カルゥ」
真っ黒な獣がこちらを窺う気配を感じながらひとりごちる。