「さて・・私はまだ用があるからそなたはもう休むがいい・・ではな」
先ほどの優しさが嘘のようにそっけない彼の態度に戸惑ってしまう。
きっとジェミルを探しに行かれるのだわ・・だけど・・
なによりも今は傍にいて欲しかった・・
どうしよう・・・どうすればいいの・・
重い女だと鬱陶しがられるかもしれなかった。
でも気づいたらライザール様の袖を握り締めて引き留めていた。
「お願い・・もう少しだけでいいの・・傍にいてくださらない?」
これは足止めにもなるのかもしれない。いえ、そうなのだろう。
だけど一緒にいたかったことも嘘ではなかった。
味方のいない場所だからかもしれない。
私が偽物であったとしてもライザール様さえ認めてしまえば安泰だったから。
それは居場所を欲した私のまさに本能だった。
しばし逡巡されたけれどライザール様は頷かれた。
「・・・・・まあ、いいだろう。そなたが休むまでここにいよう・・」
婚姻まではと私にそれ以上触れようとはされなかったし横にもなられなかったけれどライザール様は譲歩された。
けれどけっして心を許されたわけではなかった。
そんな状況なのに・・気づいたら私は眠ってしまったようだった。
そうね・・・私の方は疲労困憊もあったけれど、慕う方だからか安心感があったのだと思う。
まるで大樹に寄りかかって木漏れ日の下でうたた寝しているような心地になるの。