目を覚ました時にはすでにライザール様のお姿は部屋になく、

カルゥも消えていた。

 

一抹の寂しさを感じたけど、眠るまででいいから傍にいて欲しいと願ったのは私の方だったからしかたないのかもしれない。

 

身を起こして廊下を窺うと衛兵が詰めている気配があった。

 

あの方にとって私は虜囚なのかもしれない。そう思えば寂しかったけど慣れるしかないのだろう。

 

それとも守ってくださっている・・?

 

どちらにせよ傍にいたかったからライザール様を欺いた私に彼を責めることはできなかった。

 

まんじりともせずに夜が明けてやっとライザール様は戻られたけれど、結局ジェミルの行方は分からずじまいだった。

 

せめて安否だけでもわかるといいのに・・そう思う反面会う覚悟はなかった。

 

私の裏切りにジェミルは動揺していたから、二度と接触ははからない可能性だってあった。

 

けっして誤解ではなかったし弁解の余地はなかった。

 

もしジェミルが捕まってしまえば身分詐称が露見するのも時間の問題だったし、ライザール様は躊躇なく処罰されるだろう。

 

ジェミルと会えたからといって問題が解決するわけでもない。

 

はたしてライザール様を選んでしまった私の背信をジェミルが許してくれるかだってわからなかったし、ライザール様暗殺を諦めてくれるかだってわからない。

 

それどころかライザール様に幻滅されたくないと思ってしまう自分がいた。

 

そして私は万が一ジェミルが捕まってもライザール様の慈悲を請える立場ですらなかった。

 

 

だから行方がわからない状況はむしろ都合がよいのかもしれない。