まるで薄氷の上にいるような心地だったけれどライザール様も同様のようだった。
私を婚約者として迎え入れながらも、あの方はずっと葛藤を抱えていたようだったことに気づいていた。
恐らくだけれどライザール様は私が自力で縄を解き脱出を図ると考えておられたようだ。
だからこそ戻られた時に私がいたことで動揺された。
そうやって私を試されたのに思いがけない反応を返されたことで、私を訝しみながらも追及はされなかった。
ひとまず王の疑いはかわせたけど私の手首にはくっきりと縄の痕が残ったままだったし、ライザール様の首にも暗器の痕が残っていた。
ちょうど婚約期間中だったから夜毎祝宴が開かれていた頃だった。
ライザール様は金環の豪華な首飾りで首の傷を隠されたし、私は私で両手首に腕輪をして痣を隠すことにした。
申し合わせたわけではなかったけれど襲撃などなかったかのように振舞われるライザール様の心意気を倣っただけだった。
いかなる時であっても取り乱さず安泰であるように振舞われるなんて・・カリスマとされるだけはあるのね。
けれど臣下の前でダンスを披露する時は私の身を案じてくださったわ・・
でも大丈夫・・踊ることは天職ですもの・・・
軽やかに踊る私を見たライザール様も満更でもなかったようね。
少しでも見直していただけるといいのだけど・・