でも・・今の私が一番望むこと・・それは

 

「ねえ中庭に案内してくださらない?今宵は月が見ごろなんですって。ぜひ貴方と見たいわ」

 

ヒラール宮殿の中庭は景勝地だった。もちろん庶民は立ち入れない場所だから王の婚約者に成りすましたおかげといえるわね。

 

国土の大半が砂漠に覆われた国ですもの。オアシスも点在してるし、サバンナだってあるけど・・緑はそれだけ貴重なものだった。

 

昼間も素敵だけれど夜は夜でまた幻想的で格別に映える場所だった。

 

各国から取り寄せた珍しい樹木や草花が植えられており、ライトアップされた中庭は夜の散策に最適だった。

 

「いいだろう・・そろそろパーティもお開きだからな。では行こうか」

 

ライザール様の案内で中庭へ向かう途中も怪しい人影は見なかったし、そこかしこに衛兵が詰めているようだった。

 

やっぱり考えすぎだったみたいね。

 

音信不通だったジェミルの行方がわかるかも?って期待があったけれど・・

 

いざわかったらわかったできっとまた悩んでしまうだろうことはわかりきっていた。

 

それは私がライザール様を選んでしまったからよ・・・

 

でもだからといってジェミルが心配じゃないわけじゃない・・

 

乙女心は複雑なの・・しかたないわ