※シリーン視点です
シェーラ様は慎ましい性格だったため、婚姻するまで純潔を守っていたが婚姻を祝して施したヘナタトゥーがきっかけとなり暴走してしまい悲劇が訪れた。
店主様は魔術的シンボルは成長に伴い発現するが性格や環境により個体差があり、成長に見合った恋愛をすることでシンボルをコントロールできるようになるのでは・・?と推測をたてていたがとりあえず干渉せずにいたらしい。
そして王に出会う可能性を広げるためにさらに4年後に生まれたのが私・・だったのね。
私の両親はさる貴族だったそうだ。私の美貌は母親譲りなんですって・・
生まれてすぐに私は両親の元に引き取られてゆき、愛情を注がれて育ったけれど両親が事故で失われたのが12歳のころだった。
突然親も家も失いさ迷っていた私の前に店主様は偶然を装い現れた。私の窮状を知り探し出したそうだ。
けれどあの頃の店主様は行き倒れ同然の弱々しい姿だった。
だからこそ放っておけなくて私から店主様に声をかけ「父」になってほしいとお願いしたのだ。
あの出会いが偶然ではなかったのだとしても・・私は店主様を信じるわ。
運命の出会いが演出されたものだったのは驚いたけれどね。
けれどそれよりも衝撃だったのが「グレース」のことだった。
彼女は店主様の協力者として二人の娘を代理出産したが、いかに研究に理解があるとはいえ産んだ子を実の両親に渡すことに苦悩することになった。
実の両親の顔もおぼろげだけど、別にそんな方がいたなんて・・
しかも私とシェーラ様は同じ方から生まれていたのだ。
私の両親もシェーラ様の一族もすでにいなく、そして同じ方を愛するなんて思わなかった。
2021年3月29日公開