※シリーン視点です

 

毒気を抜かれながらもノートをめくるとやがて内容は徐々にシリアスなものへとなっていった。

 

店主様の望みが老化現象の解明だけではなく、実用的な改善方法を突き止めることだとわかっていたつもりだったけれど、想像よりはるかに具体的な対策を行っていたことがわかった。

 

動揺を抑えながらなんとか書類を一通り読み終えたえけれど動機が止まりそうになかった。

 

まさか・・こんなことに店主様が関わっていたなんて・・・

 

不老不死を研究していた店主様が行きついた答え・・

それは魔術と医学の融合だったようだ。

 

フレイン帝国で科学者だった彼は対象である王族の男を効率よく誘惑できる先天的に魔術のシンボルを刻まれた女児を作り出すために「代理母」という手段を用いることを思い付いた。

 

しかし倫理的な問題がありフレイン帝国の学会を追放されてしまったため法整備が不十分なシャナーサ国へと来るに至ったらしい。

 

そこで店主様は孤児だった少女を養女にして研究を続けることにした。

 

「グレース」と名付けた少女の協力を得て子のいない裕福な夫婦の求めに応じる形で「代理母出産」を二回行った。

 

ターゲットが王族だけにある程度身分や美貌がないと出会う機会が巡ってこないためだろう。

 

しかし必ずしも成功するわけではなく最初の子供に魔術のシンボルが発現しなかったためそのまま両親に引き取られていったのだが、その最初の子供こそ「シェーラ」様だったのだ。

 

 

 

2021年3月29日公開