※シリーン視点です

 

ライザール様とシェーラ様の血がべったりとついた凶器は行方知れずになったままだという。

 

そして別れる直前ライザ様は言われた。

 

「貴女ならば闇を暴けるかもしれませんね、シリーン。ですがくれぐれも用心するように。王のことはご心配なく、命に代えてもお守りしますよ」

 

―――ライザ様!

 

託されたのだと思う。かつて自身の善悪を指針に動く私の信条を知ったライザ様からは密偵向きではないと皮肉を言われたことがあったけれど・・・

 

同時に羨望も含まれていたように思う。

 

ライザール様は王として国の安定を図る義務があり、ライザ様は王命を汲み忠実に動くだけだ。

 

その点私は大切な方達を守ることだけを考えることができる。

今やその闇は邪悪な形を成そうとしていたし放っておいていいはずがなかった。

 

やはり店主様の弟子だったというアイーシャという女が目論んだのかもしれないわ。

 

若さと美しさ・・それはたしかに魅惑的な不朽のテーマだ。

 

長い事血を断っていた店主様が老人の姿だったことを思えば、その女がどのような女であれ老女の姿になることを恐れているのかもしれない。

 

それにシェーラ様の犠牲だけではなかった。

いまだにこの国では少女失踪事件が頻発しているのだから・・・

 

2021年3月28日公開