※シリーン視点です
血のつながりがなかったから、少しでも繋がりたくて自分の血を捧げたことに後悔はなかった。
だけどやがてそれもなくなったのは・・・
きっかけがなにかあったはず・・・そうだわ!
ある日、店主様があの子を・・ジェミルをどこからともなく連れて来てからではなかった?
なぜ忘れていたのかしら・・こんな大切なことを・・
いえ、覚えていたけれど関連付けてなかっただけかもしれない。
初めてジェミルを見た時、なんだかとても親近感を覚えた。
「この子は誰?」そう尋ねた私に店主様が「家族」だと言われて・・
私はジェミルを「弟」として家族に迎え入れたのだった。
だけど・・あの子は無口な子でいつも遠巻きに私を見ているだけだった。
「弟」の存在が嬉しくて、子供なのに遠慮深いジェミルを構いたくてしかたなかった。だけど同時にタトゥーのことが気がかりでもあった。
「あの子ならば大丈夫、そのタトゥーの影響が及ぶことはないよ。だけど今は反抗期なんだ・・そっとしておいてあげなさい」
店主様はそうおっしゃったけど・・どうしても放っておけなくて・・
なんでかっていうと・・そう、汚れた包帯を代えてあげたかったからよ。
ジェミルはいつもどこかに傷を負っていた。
最初は近所の子とケンカでもしてるのかと思ってたけど・・・
だけど・・・違ったの