※シリーン視点です
「私の考えを述べましょう。・・その話を聞いた時私はまっさきにシェーラ様のことを思い出しました。もし同じ理由で血を欲した何者かがシェーラ様にタトゥーを施し王の血を手に入れようと画策したのだとしたら・・ね」
――まさか、そんなことが?
その話を聞いた当時は半信半疑だった。けれど店主様の弟子であるというアイーシャという女の存在や盗まれたのが魔術書であったことが信ぴょう性を増すことになった。
あの時ライザ様はこうも言っていた。
『貴女が婚約者に成りすましていた時にライザール様が何者かに襲撃されたでしょう?結局暗殺者の正体はわかりませんでしたが王のお話しでは拍子抜けするほどあっさりと撤退したのだとか。もしその時の襲撃の目的が王の血であったならばどうです?』
そういえば私もその話を聞いた時に同じ考えを抱いたことを思い出す。
自分の目的が血だったからこその予測だった。
そして同時にライザ様が店主様を疑っているのだということもわかってしまった。
「私の主はそんな方ではありません」
思わず感情的になってしまう。けれど当然ながらライザ様が納得されるはずもない。
「けれど貴女は主のために血を欲しているのでしょう?そして9年前の貴女では王を射とめることは困難だったはずです。その間貴方の主はどうしていたのでしょうね?」
!!?
それは確かにそうだ。なぜ今まで疑問にも思わなかったのだろう・・