※シリーン視点です
かつてライザール様が求婚されたシェーラという女性がいたそうだ。
大商人の一人娘で教養も商才もある賢い女性だったという。
シェーラ様は18歳でライザール様は23歳だった。
けれど身分が低かったため王の猛反対にあったライザール様は父王と対立されてしまった。
それだけでなく水面下では大貴族の娘との縁談すら持ち上がっていたらしい。
どうしてもシェーラを娶りたいなら側妃にすれば良いという父王の画策だったようだ。
もちろんライザール様は拒絶されたが、その直後王が暗殺されてしまい、思いがけずにライザール様が王に即位された。
王の権限で大貴族との縁談を取りやめたライザール様の判断が正しかったのかはわからない。
王の伴侶になりたい女はいくらだっていただろうし、王の求愛を信じていてもシェーラ様はさぞかし不安だっただろう。
そして喪が明け婚儀は滞りなくすみ初夜が訪れた時に事件が起きてしまった。
驚いたわ・・まさかライザール様がすでに一度婚姻を結ばれていたなんて・・
シェーラ様は初夜に亡くなってしまい、最愛の女性をやむなく手にかけてしまったライザール様は悲嘆にくれることになった。
・・こじれちゃうわけね。それはあんまりにも惨い話だった。
嫉妬よりも大切な方を失われたライザール様への憐憫の情が勝ってしまう。
本当に気の毒だわ・・ライザール様もシェーラ様も・・
ライザール様と出会い愛を知った今ならば、張り裂けんばかりの苦しい胸の痛みがわかってしまう・・