※シリーン視点です
ジェミルに話してもいないことを私の一存でライザ様に話すべきではないわ。
まずはあの子の気持ちを確かめてからでないと余計なお世話になってしまう。
それになによりあの子は私の「弟」だもの・・・
ライザ様の愛した方の行方だって知れない・・
こんな重要なことを安易に判断すべきじゃないと自分に言い聞かせるしかなかった。
だからまだこのことは私の胸にしまっておこうと思う。
年を重ねた分やるせない思いをすることが増えた気がするわね。
ましてやお互いに密偵ですもの。人よりは多くの修羅場をくぐっているぶん闇を垣間見てしまうことはあるわ。だからこそ刹那の出会いや煌めく愛が尊く思えるのだ。
私はライザール様と出会えた縁を大切にしたい・・・
だけどあの方が憂いを抱えてらっしゃるならなんとかして差し上げたい・・・
打ち解けたタイミングを見計らい、ライザール様の過去のことも聞いてみた。
私だって聞きたいわけじゃないけれど、気にはなるじゃない?
まさかライザール様の昔の彼女に嫉妬する日がくるなんて思いもしなかったけど・・
「王室にとっては不名誉ですから、かん口令が敷かれていますが外ならぬ貴女にならばお答えしますよ。王はお話しにならないでしょうからね。」
そう言い置きライザ様は話してくださった。
確かに以前、ライザール様は愛した方の裏切りにあったとはおっしゃってたけど・・
あの方の心の闇の原因がわかるかもしれないわ・・