※シリーン視点です

 

彼女はトイに提案した。姉と弟として振舞ってほしい・・と。

それ自体は別におかしなことではないため、トイはしぶしぶ引き受けたが王宮に直談判に行かされたことで子供ながら釈然としないものを感じたらしい。

 

見た目は幼くてもバザールの闇を生き抜いてきただけに不穏な気配に敏感だったのだろう。上手い話には裏があるものだ。

知らぬうちに悪事の片棒を担いでいることだって十分ありうる。

 

「俺・・間違ってることしたとは思ってない。王には本当の俺達のことを知って欲しかった。だけど・・シリーンは俺によくしてくれただろう?だから話そうと思ったんだ。だけどなかなか言い出せなくて・・」

 

以前バザールで会った時もなにか言いよどんでいる気配があったことを思い出す。

 

トイなりに私のことを気にかけていてくれたらしい。

心配しているつもりが心配されていたなんて・・

 

「そうだったのね・・ありがとう、トイ正直に話してくれて」

 

トイの役割はだいたいわかったけど・・

問題はやはり「アスラ」の方だった。

 

トイの話ではカマルで給仕になって以降アスラとは一度も会ってないらしい・・

 

幼い弟を抱えた健気な姉ではなかったというわけね・・

 

最初に渡された金以外トイはもらえなかったため、なんとか今日まで食いつないできたようだ。

 

用心のために「アスラ」に会いにカマルにも近づかなかったらしい。

 

賢明だわ。どこに仲間が潜んでいるかもわからない状況では慎重をきすしかない。