※シリーン視点です
ことの発端がどこからなのか・・私にはわからない。
だけど私もライザール様もとうの昔に蜘蛛の巣にかかっていたらしい。
いえ、ライザール様はもしかしたらずっと以前からなにかを感じておられたのかも。
無関係だと思われていたいくつかのできごとがもたらした不協和音・・
それらはほんのささいな出来事だったけれど、すべては私達を絡めとるための罠だったなんて・・・
不穏な気配を最初に察知したのは店主様だった。
私はショーの真っ最中だったし、踊り子たちが出払っていて楽屋はもちろんバックヤードも閑散としており、店主様も別室で来客の対応をしていた時だった。
部屋に戻った店主様がまず異変に気付いた。
ちょうど出番を終え自室に戻る途中、血相をかえた店主様と遭遇することになった。
いつも冷静な方が珍しく取り乱されている様子に不審に思いながらも事情を窺うと、空き巣被害にあったとのことだった。
確認のためにお部屋に伺ったら(いつも適度に散らかっていらっしゃるけど)確かに室内は物色された痕跡が残っているようだった。
「すまない、シリーン・・まずいことになったようだ。魔導書を盗まれてしまったみたいだ」
手渡したグラスワインを一口飲まれた後店主様は重い口調で打ち明けてくれた。