・・・ライザールと初めて会った時に感じたあの胸のときめきはなかったわね。
それでもタトゥーは持って生まれた能力だったから使わずにはいられなかった。
ルーガンや燐で出会った男達と束の間の情事にもタトゥーは役だった。
そうしてタトゥーの力を開花させた私はやっと本命だったライザール様をターゲットに選んだの。
だけど・・久しぶりに会った彼に昔の面影はなかった。
一体貴方になにがあったというの・・・?
もちろんたった一度言葉をかわしただけの私に彼のすべてがわかるはずなんかないけれど・・
王子だった頃の瞳の輝きは失われていた。
まるで女を憎んでいるみたいに見えるほど昏い目をしている貴方を見て気持ちがしぼんでいくのがわかった。
私ったらバカね、何を期待していたのかしら・・
孤高の王の背負う重責ですもの、楽なはずがない。
ライザール様はまるで手負いの獣みたいに頑な態度ではあったし私を警戒していたけど王としては立派な方だった。
ただ恋愛をする気はまったくないのはわかったわ。
私の誘惑もあっさりとあしらうなんて・・・なんてことなのかしら・・
ずっと憧れの方だったのに・・・互いの温度差は変えられそうになかった
店主様のために血を手に入れたいって使命もあったし、そのためにライザール様にその気になってもらわなければならないのに・・
だけど傷ついた目の貴方をみたら無理強いはしたくないと思った。
それでも店主様の命を繋ぐためにライザール様の血は必要だったから気はすすまないけどタトゥーの力を借りることにしたのだ。