はずだったが・・・知れば知るほど「レイラ」の魅力に抗えなくなり

いつしか心までからめとられていたのは私の方だった。

 

国の現状を憂いて民を思いやる心もあり、教養もある女はこの国では稀有な存在だった。

 

私に対しても億することなく忌憚のない意見を言えるのはなお好ましい。

 

状況の判断力や卓越した観察眼も併せ持ち、身体能力も高いらしい。

 

衛兵の監視を潜り抜け私を尾行する様は熟練の密偵のようだった。

 

いや、恐らく彼女は密偵なのだろう・・

 

だがこれまで出会った冷徹な女達とは違い、温かな心の持ち主であるようだ。

 

それは私にとっては喜ばしいことだったから花嫁にすべく篭絡することにしたのだ。

 

真剣な恋など無縁だったのに気づいたら本気になっていた。

 

そんな私に応えるべく彼女は覚悟を決めたようだった。

「レイラ」でいることはおそらく不本意なのだろうが、それでも私の妻であり続けることを選んでくれた「彼女」に居場所を作ってやりたかった。

 

だから私はアリと取引をすることにした。

高度な政治的な判断もあった。

 

レイラの駆け落ち騒動はアリ家にとっても末代までの恥になろうし、私にとってはとんだ醜聞だったから駆け引きの余地はあった。

 

利害の一致は当然だったのだ。

 

互いの体面を守るうえでも重要だったが、アリが彼女を娘だと認めれば彼女にとっても悪くない話だ。