妻を娶った以上義務を果たす心づもりはあったし、いずれは気が進まぬながらも子を設けなくてはならなかったが、はたして王族でもない私の血でよいのだろうか・・・?
もちろん私だって自分の子は欲しいし、親になる覚悟だってあるにはあるが、ことはそう単純ではなかった。
私は奇妙な縁から王を名乗ってるが実際は王族でもないしむろん貴族ですらないからな。
この国の王はしがない水煙草商人に身をやつし私の相談役をしてくれているが、彼にはどうやら若気の至りで作った隠し子がいるらしい。
いずれその者に王位を譲りたいと考えているようだが、幼い頃に生き別れたままになってしまいいまだに行方はわからない。
私も四方八方を探したが未だに発見には至らない有様だった。
もしその者が発見されれば王位は譲ることは一向にかまわないが、力不足も起こりうるから補佐として裏方に回ってもいいと考えていたが、アリ家との婚姻を結んでしまったため自体はよりややこしいことになってしまった。
王との婚姻により世継ぎを設ければ栄光は思いのままだったかもしれないが、だが彼女が偽物であるならばアリ家と交渉の余地はありそうだ。
そんな思惑があったにせよ、美しい彼女を我が物にしたいと望んだのは私だった。
暴くのは簡単だったがあえてそうしなかったのは、暴けば彼女が去ってしまうことが嫌だったからだ。
だから「レイラ」として振舞う彼女を受け入れることにした。
とはいえ、私はそもそもレイラを知らないしあれは彼女の素なのかもしれない。
優美でしとやかな淑女だったが、その目は利発で好奇心に満ち溢れていた。