私を見つめる目にも情愛が溢れていた。

 

もしあれが全て偽りならば私もまだまだ修行が足りないかもな。

暗殺者と通じて私を謀る気かとも思えたが、彼女の悲鳴があったからすぐに衛兵がかけつけ事なきを得たのは確かだった。

 

私への愛か課せられた役割か主への忠誠か・・はたして彼女の優先事項がどうなのか常に私は彼女の一挙手一投足を見逃すことなく見極めていた。

 

胡散臭いヘナタトゥーをまとった彼女は信用できない女だったが、初夜の晩彼女はタトゥーをしないで私に身を任せた。

 

 

ありのままの彼女は、初心で愛らしい小娘だった。

妖艶に振舞い男を手玉に取りあしらってきたであろう彼女のそれが正体だった。

 

私に抱えた秘密を悟られまいと振舞う姿を健気だとさえ思う。

思うが・・・私はシリーンを忘れることができなかったから、夜毎街を彷徨い彼女の姿を探し求めた。

 

2回ほど尾行されたが、未練がましく忘れ得ぬ少女の姿を追い求める姿など彼女に見せたくなかったし、私の秘密・・義賊のライラ・ヌールであることを明かすこともできなかったから女が立ち入れない場所へと足を向けたこともあったが、断じて遊んではいない。

 

ただ一人で追憶に浸りたかったし、このままどんどん彼女に惹かれていくことが裏切りに思えてしまったからだ。ま、一人じゃなくて彼女を覚えていた相棒のカルゥと一緒だったがな・・

 

しかし当てなどなく探し疲れた足をふと止め見上げた夜空に煌々と光る月を見ていたら無性に彼女に会いたくなってしまった。

 

月は影があって尚美しい・・その裏側を見ることはかなわない

だが知らずとも愛せるものではないか・・・?

 

麗しの妻の元に帰るか・・・

彼女に惹かれた心に偽りはないのだ