自分でも愚かだと思う。愛情をかわすことのないまま私達は夫婦になり今に至る。

 

けれど恋愛結婚ではなくはなから政略結婚だと承知で無謀な賭けにでたのは私の方だった。

 

きっと心を求めてはいけないのだろう。それでも行き場を失った思いは夜毎悪夢となり私の眠りを妨げることになった。

 

同衾していなかったらこんな悩みとは無縁でいられたのかもしれない。

 

十分な広さの部屋を与えられていたけれど誰一人知り合いもいない宮廷暮らしがもたらす孤独から逃れたくてせめてもと同衾を申し出たのに・・

 

かえって溝が深まることになってしまった。

 

初夜こそ共に過ごしたけれど、翌日からライザール様は夜半に外出するようになってしまったのだ。

 

二回ほど尾行を試みたけれど1度目はまかれてしまい、二度目は花街の方向だと気づき引き返してしまってからは追跡を諦めた。

 

明け方戻って来た彼からは甘いムスクの香りがして、なんだかいたたまれない気持ちのまま寝たふりをしてやりすごしてしまった。

 

まだ若い王だけに発散したかったのかもしれないし、婚姻前から馴染みの相手でもいたのかもしれない。

 

少なくとも偽りの婚約者の私に追及できることではなかった。

 

夜中も活動しているのに昼間も精力的に働くライザール様の活力の源がなにかもわからなかったけれど、一方で活躍の場がない私は退屈を持て余すこととなった。