こうなったら・・そうだわ!

 

「どちらも本物だと言うならいいわ・・質問をしてもいい?私達しか知らない秘密の話を聞くから答えてもらえるかしら?」

 

二人の顔色を窺いながら尋ねたら互いに顔を合わせた後、一拍の後に頷き返した。

 

『ああ、なんでも聞くがいい』

 

仕草も表情も同じだわ。

 

ならそうね・・・う~ん改めて二人しか知らない出来事を思い返す私の脳裏に浮かんだのは・・・

 

「ならば答えて。私達が初めて結ばれたのはいつ?どこでだった?」

 

出会ってからは密偵として幾度もライザール様をあの手この手で誘惑したけれど・・

 

これなら本物ならば確実にわかるはず・・・

 

すると私に覆いかぶさりキスをしてきた方のライザール様が先に応えた。

 

「では私から応えよう。・・初夜だっただろう?あの夜お前はこの場所で初めて私に抱かれたのだ」

 

そうだったわね・・あの時は密偵としての覚悟を試されているようだった。

 

本当は逃げ出したかったけど私の矜持がそれを許さなかった。

半ば意地になったといっていい。

 

私が密偵なのではと疑っていた貴方は揺さぶりをかけ試すつもりだったようだけど処女だった私には貴方が思う以上にとても重い決断でもあった。