私が連れてこられたのはシャナーサ王国の首都にあるヒラ―ル宮だった。

 

名君と名高いライザール王が統治する宮殿は荘厳なものだった。

彼はハレムを持たないと聞いていた通り、私がいる場所も王が用意した客室だったが、出入り口も窓も武装した兵士が配置されていた。

 

私は貴賓ではなくただの虜囚にすぎないのだと明確に知らしめるものだった。

 

かつての王たちは他国から集めた女達を後宮に侍らしていたそうだが、ライザール王は今もって独身らしい。

 

いいオトコだと聞くのにもったいないわね・・

女を喜ばせる術を持たない男など価値はない・・そうでしょ?

 

とはいえ羽目を外しすぎたせいで危うい目にあったあとだけに

王の出方がわからない以上は殊勝にしていた方が身のためだろうか。

 

男なんて結局みんな同じなんだから・・取りすましてたヴィンスだって・・

 

あの時の屈辱は長らく私を苦しめるものだった。

テオの指示で辱めを受けたあと、救出にかけつけたヴィンスまでもが劣情に負けてしまったのだから・・

 

好意があっただけにあの裏切りはより堪えた。

だからそれからは幻想は捨てて開き直ることにした。

 

私の魅惑に男達は逆らえない・・負け犬になるのは嫌、私が翻弄してあげる・・そう有頂天だったが、誇り高いヴィンスを甘く見すぎたようだ。

 

思わぬ逆襲を受け敗北を喫したのは私の方だった。

 

「残念だがお前はもう女王でも密偵でも踊り子でもない・・新たな道を探すがいい」

 

女王は望んでなったわけじゃない・・いわば成り行きでしかなかった。もう二度と誰にも傷つけられたくなくて権力にすがっただけ

 

密偵は生き残る術でしかなかった・・

 

だけど踊りは私に生きる喜びを実感させてくれるものだったのに・・