巣を追い出されて針を折られて自由に羽ばたいていた羽もむしられてしまった私はもう飛べない。
誰かの庇護なくしてはこの国では生きてゆくことさえままならない身だった。
「目が覚めたか・・シリーン」
!
追憶を打ち切り顔をあげるとそこにはライザール王が佇んでいた。
野性的な風貌に自信が満ち溢れた立派な体躯のライザール王は腕を組み私を見下ろしていた。まさに王者の風格だった。
その強い眼差しに臆しそうな我が身を叱咤しながら、動揺を押し隠して王を見つめ返した。
貴方は屈辱にまみれたことなんてないでしょう?
そんなライザール王が私の新しい主というわけね。
私に選ぶ権利などないもの・・
ヴィンスに追放されたのに、目覚めたらライザール王の手の内だったなんて・・
なんらかの仄暗い取引があったはず・・
身代金を支払ったのか、それともなんらかの利権か・・
いずれにせよライザール王が私を所望してヴィンスはそれに応じた。
ヴィンスはさほど寛容な男ではなかったし、私を追放して王に返り咲くために隣国の力を借りるなんて思いもしなかった。
結託した男が手ごわいのは身に染みていたから今更抗う気は起きなかった。
それでも束縛を厭う気持ちが潰えたわけではない。
