彼は日に何度か私の元に顔を出してくれたけれどあれ以降けっして私に触れようとはしなかった。

 

でも本当は我慢していたのでしょう?

 

今更だった・・・だから私からライザール王を誘惑した。

だって私は女王蜂だもの。

男達はみんな私に夢中なのよ?

だからどうか私を見て欲しい・・

そう願いながらも用意しておいた目元を覆うための仮面をつける。

 

貴方の夢の女になってあげるわ。

私を抱いた男達が欲したのはこの身体だけ・・

 

さあ・・遠慮はいらないわ・・

身を投げ出した私を抱きしめたライザール様は、仮面を取り上げてしまわれた。

 

「私の夢の女はお前だけだ・・だから仮面は必要ない」

 

――え?

 

「シリーン私にとってお前は誰よりも大切な女だ。・・ずっと前からな」

 

ずっと・・前から?

 

「何を言っているの?」

 

ライザール王は私を抱きしめたまま静かに言葉を紡いだ。

 

「私達は会ったことがある・・この国の砂漠でな・・あれからもう9年は経つが当時私は盗賊をしていたのだ。この国の闇市でお前を見かけてたまらず連れて逃げた。当時辺りを仕切っていた男の娘が病気でな・・その娘を救うためにドナーとしてお前は奴らにさらわれたのだ。組織はその後壊滅したが、私はお前を見失ってしまった・・後悔はつきなかったが私は前に進むことしかできなかった。この国の王から王位を簒奪して今の私がある。つまり盗賊王というわけだ・・お前と大差ない・・私もここに至るまで散々辛酸を舐めて来たから少しはお前の辛い気持ちはわかるつもりだ。・・肝心な時に傍にいてやれなくてすまない・・許して欲しい」