まさか・・そんなことが・・
ライザール王の言葉に追憶の扉が開き過去が鮮明によみがえっていく。
ああ・・そうだったわね
容赦なく照り付ける太陽の下で私達は束の間の逃亡劇を繰り広げたんだったわ。
大人しく死を待っていた私に手を差し伸べてくれたのは貴方だけだった。
貴方は善人ではなかったけれど悪人でもなくて・・世の理不尽に義憤を感じていた。
だから助けても一文の得にもならない私を見返りを求めずに助けてくれた。
結局私はまた貴方を見失ってしまったけれど・・砂漠で出会った者は再び砂漠で見えるというでしょう?
ああ・・本当にその通りになったのね・・
あの頃私はまだ無垢な子供だった・・時は戻せないけれど・・
それでもまたこうして貴方に出会えるなんて・・・
「・・ルト・・・私、変わってしまったのよ・・貴方にもわかってるでしょう?」
だからこそよけいに貴方を煩わせたくなかった。