「私はこれまで男を愛したことは一度もありませんが、これからは私が愛するのは貴方だけですわ。王としても尊敬してますし、男としても身も心も捧げたいのは貴方だけですから」

 

王だけあって支配欲も独占欲も強い方だけど構わないわ。

やっと巡り合えた大切な方だもの。それに貴方の心に寄り添える存在になりたい。

 

そう答えたらライザール様が不敵に微笑まれたかと思うと私の背後に声をかけた。

 

「聞こえたな小僧。シリーンが私を選んだ以上、二度と彼女に触れることは許さない」

 

ええ!?

 

肩越しに振り向くとそこにはジェミルが佇んでいた。

 

いつの間に・・まったく気配を感じなかったわ・・

 

気取られずにターゲットとの距離を詰め瞬殺する・・一流の暗殺者だけはあった。

 

ジェミルはと言うとライザール様を睨んでいたが否定はしなかった。

 

じゃあやっぱりさっきのキス盗人はジェミルだったのね。

 

驚いたわ・・ちょっと恥ずかしいわね。

心なしかジェミルの頬も上気してるみたいだった。