※ジェミル視点です

 

だけど奴を誘惑したあとあんたの様子がおかしくなって・・

何度聞いても唇を噛みしめるだけで・・わけがわからなかった。

だけど俺は見ちまったんだ・・

 

中庭で月を見上げながら微笑むあんたの姿を。

あの夜あんたは何かを知り心変わりをした・・

 

本気で裏切る気かよ・・シリーン!

俺達の絆ってあんたにとってその程度なのか

 

あいつを守ろうとするあんたが許せなくて迷わせる奴を俺は始末するしかなかったのに・・・

 

俺はしくじった。感情的になっちまったせいだ。

死を覚悟した俺を、だが奴はあっさりと解放した。

 

戻って来たシリーンの顔を見た瞬間嫌な予感を拭えなくなった。

 

「アイツと取引したんだろ?」

 

――俺がしくじったせいで・・お前はアイツとっ

 

一度だけ聞いてみたけどシリーンは「貴方は知らなくていいわ」とはぐらかすばかりでけっして応えようとしなかった。

 

「無罪放免よ。王が寛大な方でよかったわ・・さ、帰りましょう?私達の家へ」

 

無理して笑おうとすんなよ。あんたのそんな顔見たくねえよ。

王の暗殺を目論んだ暗殺者を無罪放免なんてありえねえだろ!?

 

あんたに執着してた王が他になにも持ってない俺達とどんな取引したかなんて考えたくもなかった。