※ジェミル視点です
「心配しないで・・ね」そう言って安心させるように姉の顔で俺の頬を両手で包み込むあんたの唇を何度奪ってやりたいと思ったかあんたは知らないだろ?
俺だって男なんだぜ?
だけど嫌われたくないからひっしに我慢した。
シリーン・・あんたさ。仕事以外で男としたことないだろ。
あんたみたいないい女がくだらない男達のおもちゃにされるなんて我慢できっかよ。
だけどそんな境遇のくせしてあんたの心は荒んでなかった。
そしてあんたはいつも静かに月を眺めていた。
「私にはルトとの思い出があるだけでいいの」
義賊のルト・・たった一度出会ったアイツを忘れられずにずっと探し求めるあんたにそんな男のことはとっとと忘れろなんて俺が言えるかよ。
砂漠で共に星空を眺めた・・たったそれだけの思い出を胸に辛い仕事をこなすあんたの希望を俺が奪えるはずもないだろ?
現実とは程遠い憧れだけがあんたを支えてるんだってことが切なくて苦しくて俺じゃあんたの力になれないことが悔しくて・・・
俺達には傷をなめ合うことしかできねえしそれはあんたの望みじゃなかった。
感傷的になるなんて柄じゃねえよ。
シリーン・・・この仕事終わらせてさっさと俺達の家に帰ろうぜ?