※ライザール視点です

明かりがついた時彼女はどこか夢心地のようだった。

ふん・・・なかなか色っぽい顔をさせるじゃないか・・若造が!

 

私の女に手を出すなど許せんがまあいい・・

なぜなら彼女はただ一途に私を見ていたからだ。ベール越しにひそかに伺う熱を帯びたジェミルの視線に気づかぬほどに。

 

ああ・・そうか。

お前は私とのキスを望んでくれるのか・・ならば許そう。

 

どうやら彼女は幻想を見たようだ。いや、願望というべきかな?

だがそれは私も同じだった。とても甘い・・・な。

 

わかるぞ・・その気持ち。私も彼女に恋してるからだ。

 

幾度も彼女の唇を夢想した。私だけの女にしたいと望んだ。

浅ましいまでに・・幾度も幾度も夢の中で彼女を抱いた。

 

だからこの胸に秘めた情熱を今こそ示そうと思う。

 

お前が私とのキスを望んでくれるならばそれに報いたい。

愛を込めたキスをお前と交わしたい・・・今こそ私の心を捧げよう。

 

お前にはその価値がある・・他の誰でもないお前が欲しい・・

 

もしキスを交わしたならばきっともう二度と私はお前を手放せないだろうから・・

 

だからどうかお願いだから私を拒まないでくれ・・

愛しているシリーン・・

 

それが掛け値のない私の本心だ。

 

中庭で待つ彼女の後を追いかけながら柄にもなく胸を高鳴らせる。

 

こんな気持ちはいつぶりだろう・・・長らく忘れていた感情だった。

 

ああ・・彼女の顔が見たい・・私を求めてくれる彼女の顔を・・

 

雲よ散るがいい!

月よ私の愛しい女を余すところなく照らすがいい!

 

満月

 

降り注ぐさやけき光を浴びた彼女の顔は至福に輝きとても美しかった。

 

そして彼女がその艶やかな唇で私の思いの丈を受け止めてくれた瞬間、

 

色彩に満ち溢れた祝祭の扉が開く音がした。

 

 

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