※ライザール視点です

あれだけ貪欲に身体を重ねたのに私達の間に情はないし、未来もない。

 

こちらとしても必要な情報は手に入れることができたのだからもうこの女に用はないはずだ・・そう思うのに・・

 

彼女を手放したくなかった。それにこの拭えない罪悪感はどうだ。

 

慕う男がいると知りながら奪った代償だろうか・・

私はいつからこんな最低な男になりさがったというのか・・

 

だが私に抱かれると決めたのは彼女の方だ。嫌ならば拒めばいい・・

 

私とて嫌がる女に無理強いする気はなかった・・いや、嘘だ・・

 

本当は彼女の全てを欲していた。身体も心も全て!

だが現実はどうだ?出会いも行為もすべてが間違っていた。

奪いたかったわけじゃないと後悔しても全てが手遅れだった。

 

ならば諦めるしかないだろう?

王であっても手に入らないものは確かにある。

 

今更だった・・

 

私の葛藤など知る由もないがひたとこちらを見つめる彼女の目はとても穏やかで思わず抱きしめてやりたい衝動にかられた。

 

ああ・・そんな顔をするな。

これ以上私を暴こうとするな・・しないでくれ

 

去って行く彼女の後ろ姿を見た時にふと感じた。

もしかすると私達の間に愛はあったのかもしれない・・と。

 

確かめる前に手から零れ落ちてしまった・・だが濡れた指の感触が執念深く私を苛む。

 

それでも私は引き留めなかったし彼女もけっして振り返らなかった。

 

あの男の元に戻れば私のことなどすぐに忘れるさ・・

 

そう思えば少しは気が楽になるか?いいや・・まさか!

 

拭い去れない情はあろうが成すすべはない。