ドクン!
その時鋭い切りつけるような視線を感じてしまい、思わず息が止まりそうになった。
けれどこんな時こそ平常心だわ・・密偵で培ったポーカーフェイスで見事切り抜けてみせるから・・
息を整えて顔をあげた私は視線の主、ライザール王に注目した。
案の定王は私を窺っていらしたようだ。この方はいつもそう。
うっすらと笑みを浮かべておられるけれどその心は深淵のごとく深く惑わされて見通せない。
絡みつくような琥珀色の瞳は燃え盛る炎のような情熱を秘めていて思わず胸が高鳴る。
一度だけジェミルの命と引き換えに彼に抱かれた。もちろんジェミルには内緒だけど(・・・でもやっぱり気づかれてるみたい。軽蔑されたかしら・・)
一夜だけの関係・・そのつもりだったけど・・私の心には拭いきれない情熱の名残があった。今でも素肌に触れた貴方の唇の感触を覚えているわ・・でも貴方はけっして私にキスはくださらなかった。
だから貴方の唇を私の唇は知らない・・それが惜しまれてしまう
他は全て知ってるからよりね
ああ・・無理にでも奪ってしまえばよかった。
だって私は貴方のことを・・求めていたのだから・・・
もしあの夜貴方が私の唇を奪ったなら私はきっと恋に落ちたでしょうね。
ライザール様・・貴方はどうなの?少しも気持ちはなかった?
そっけない態度を裏切るほど蛇のように絡みつくような執念深くなんて熱い視線なの・・まるで全てを見すかされたようだわ・・
私の思惑も絹で覆った素肌も全部・・すべてさらけ出してしまう・・・