さあ勝負の時だわ・・・!
私の唇を奪った殿方はだあれ?
→ライザール様
目配せの後誘うように彼に背を向けて歩き出した私の目指す先は中庭だった。
砂漠の国シャナーサには王が取り寄せた各国の珍しい樹木や花が咲き誇る小さな楽園があった。
煌々と輝く月は今は雲に包まれてしまっているから明かりは回廊に設置された灯だけ・・けれど深い闇に飲み込まれたように心許ないものだった。
けれど夜目が利くから問題はないわ。
いつか砂漠で共に見た満天の星空を思い出しながら彼を待っていると再び背後から抱きしめられた。
「シリーン・・・会いたかった」
今夜招待してくれたのは彼の方だったのに、会えるかもわからない関係だから一層嬉しさが増すというものよ。
ああ・・来てくださったのねライザール様
私は密偵だけど暗殺者にはなれなかった。
そして今やただの女でしかないけれど・・それでも唇に触れることを許してくださる?
どうしても貴方が欲しいの・・