「私も貴方に会えて嬉しいわ・・お元気でした?」

 

私がいなくても平気?

 

ふと芽生えた寂しさを持て余してしまう。一緒にいるのに不思議ね・・

 

そうしたら私を振り向かせたライザール様に唇を奪われてしまった。

 

不意打ちのキス

 

ああ・・やっぱりキス盗人は貴方だったのね・・嬉しい

私が奪うはずだったのに・・でもいいの・・悪くない気分だわ・・

 

互いの顔も見えないほどの闇が辺りを優しく包んでいるのに・・

少しの不安も寂しさも貴方がくれたキスが消し去ってしまった。

 

暗闇の中で互いの体温を感じながら高鳴る鼓動の赴くままキスを交わす私達を月が照らすことはきっとないわね・・だってこれは秘密の関係ですもの。

 

だけどあらためてわかったことがある。

 

ああ・・バカね私ったら・・私の心はとっくに貴方のものだったのね・・

 

ライザール様・・貴方は私の心を受け取ってくださるの?

 

官能も愛情も全てもう貴方のもの・・

 

こうして求めて下さるけど貴方の心はわからない。

 

だけど・・・薄闇の中貴方の唇の熱さだけはわかるわ・・

それだけで十分だと思ったのに・・・

 

その時ふいに雲が途切れて私を惑わすように妖しい月光が降り注いで雄々しいライザール様の彫りの深い顔を照らし出した。

 

ああ・・・拒むことなんてできるはずない・・

 

まるで砂丘のような陰影を落すライザール様を見た瞬間私は恋に落ちてしまったの・・

 

それだけが私の真実。

 

 

恋の矢