天人五衰・・その言葉を頼子に教えたのは私だった・・

 

それがいけなかったのだろうか・・?

 

ずっと大人たちの顔色をうかがっていた私に初めてできた

 

頼子は友人だったのに・・・

頼子・・どうして・・?

 

痛みが全身を苛む

・・きっと私はもう助からないだろう・・

 

ゆっくりと落ちていく私が最後に見たのは驚き見開かれた頼子の表情(かお)だった・・

 

きっと私が悪かったのだ。だから苦しまないでくれないか

 

屈託のなかった君にそんな顔をさせてしまってすまない・・

 

ああ‥頼子・・できうることならば君に幸いあらんことを・・

 

そんなことをつらつらと考えていたら誰かの気配を感じた。

 

ふと目を開けるとそこには和装姿の美しい女性が立っていて

私を見つめていた。

 

どこか母に似ている気がした・・

 

「可哀そうに・・・」

 

その人はそう言って私の額に触れた。

 

そしてその美しい指先から水滴が私の唇に滴る・・

 

ああ・・なんて甘美なんだろう・・これはきっと甘露に違いない・・

夢見心地のままその雫を嚥下する私の喉に注がれる慈愛に満ち

た眼差し・・

 

 

貴女は私を傷つけない・・?