さて・・これからどうしようかと思っていた時のことだった。

 

ガキンと派手な金属音がして、顔をあげるとそこには見慣れた顔があった。

 

音を生じさせたのは金属でできた箱が床に落下したから。

 

だけど私は彼から目をそらさない。

ヒトでなくなった私が最初に出会えたのが貴方でよかった。

 

これまでもずっと私の世話をなにかとやいてくれた雨宮さんは

こちらを凝視していた。貴方まで時間が止まってしまったみたい。

 

周囲の皆は彼が想いを寄せているのは母だと思っているようだけど

 

私は知っていた。

 

昏い情熱を秘めた眼差しが常に向けられていたことを。

そうでしょう?雨宮さん・・

 

貴方ならばきっと私の良き庇護者になってくれるでしょう?

 

「か、加菜子ちゃん?いったいなにが・・」

 

青ざめて動揺しながらも彼の執念深い目は私の手足に注がれているようだった。

 

失ってしまったはずのものがあることが信じられないのだろう。

 

「来て・・雨宮さん」

 

誘惑するように手を差し伸べると彼はつんのめりそうになりながら私の寝台の足元に跪いたかと思うと私の手を取り頬ずりした。

 

「あああ・・・加菜子ちゃん・・・・無事なんて奇跡だ・・・」

 

泣きじゃくる雨宮さんの頭を優しく撫でてあげながら話かける。

 

「ねえ・・これからも私の力になってくれるでしょう・・?」

 

従順な彼ならばきっと私の助けになってくれるだろう・・

闇が深い帝都であっても日の光は脅威だった。

 

私達を狩る鬼狩りもいるとあの方は言っていた。

 

「もちろんだ、なんでも言って欲しい!僕は僕はっ君のためならばこの命もすべて捧げるよ」

 

「嬉しい・・・ありがとう・・雨宮さん」

 

私に心酔する雨宮さんにとっては私の変化など些細なことでしかなかった。