だけど私は愛が欲しいの・・真実の愛が

 

「ならば私だけの愛を探すわ・・この世界は広いのでしょう?

きっと私だけの愛を見つけられるはずだわ・・」

 

私の決意は揺るがない。

もし愛を得たら私は不老不死ではなくなってしまうだろう・・

 

それでもかまわないの・・たった一つの愛のためなら私はこの身も命さえ捧げるわ

 

「愛の為に生き愛の為に命を散らす覚悟があるのだね?ならば行くがいい・・そうだ餞別に君に名をあげよう・・君は・・・だよ」

 

―――!

 

 

不思議だわ・・名を貰った瞬間私は私になったみたい。

シリーンの影から抜け出せたようだ。

 

「だがいいかい、この場所にはもう二度と戻ることはできない。仮初の身体でこの世に生を受けた君には厳しいかもしれないが、

まだ愛の欠片が残っているだろう?君は空っぽではない、愛を満たせるかどうかは君次第だよ・・」

 

そして私は塔を出て砂漠を横断して大きな街に辿りついた。

街まではキャラバンに乗せてもらえたわ。

 

辿り着いたのは神秘の国シャナーサだった。

なんだか懐かしささえ覚えてしまう・・

 

この国を長きにわたり治めた王と王妃がこの繁栄をもたらしたそうだ。

 

今はその幾世代か後の子孫が治めているらしい・・

 

だけど私には関係ないわ・・

だってそんな雲の上の人と出会う機会なんて早々あるわけないもの・・

 

高い塔の住人だった私だけどね・・

 

これからどうしようかしら・・・?

 

行く当てのないまま塔を出てしまったけれど・・この胸にあるのは希望だった。

 

そしたらふいに誰かに名を呼ばれた気がした・・

 

振り向くとそこにはどこか見覚えのある男が立っていた。

緋色の眼の若い男だった。

 

けれど懐かしさはこみ上げても愛は感じない・・

私の探し求めてる男ではないけれどなにか用かしら?

 

「やあ・・美しい方。君さえ良ければ踊り子をやってみないかい?初心者でも大歓迎だよ・・僕の教えたとおりにすればすぐに踊れるようになる・・自慢ではないが「カマル」は高級サロンだからね。君に相応しい高貴な方々ともお近づきになれるよ」

 

・・・踊り子?・・なんだか面白そうね・・

 

キャラバンの娘達が教えてくれたから「踊り子」が何かは知っていた。

 

そして予感を覚える・・この場所ならばきっと私だけの愛を見つけることができるって・・・

 

「いいわ。上手く踊れるかはわからないけれどやってみます」

 

そう言ったら男は見覚えのある笑顔で頷いた。