湧きたつ民衆と大切な彼らを前に幸福感に満たされながら、
私は手にした魔法のランプにそっと視線を落した。
愛とはなにかもわからないまま貴方は私を創造された。
己が知りようもないことを子に教える術はない
純粋無垢で空っぽだからこそ私は何色にも染まってしまう
・・貴方は私が穢されることを恐れていた。
かつて貴方が「偽物」だと断じた妹達は皆ある意味本当に人間らしい弱さや欲望を持ったまま生まれてしまった。私利私欲に走るあの子たちでは「魔法のランプ」を作ることは叶わなかったでしょう。
だからこそ貴方はあの子たちを否定された・・
そして悪影響を受けぬように唯一成熟した私を外界から遮断したあの塔に閉じ込められたのですね。
あの塔を登る資格があるのはこの国の命運を担えるだけの使命感と能力を持った前途有望な若者だけ
・・それに私の好みも加味されてたの![]()
もしルトが私を裏切れば私の心は闇に染まったかもしれない・・
悪に染まり堕落するのは容易い。
そんな私とルトを店主様はけっしてお許しにならなかっただろう。
あの方の愛は確かに歪だったけれど、今ならば親心だったのだとわかる。
私がこの世に生まれたのは愛を得て究極の錬成を成功させ、
愛する伴侶を得てこの国を未来へと導くためだった。
その全ては叶った・・だけど私達の人生はここからだわ。
そして私の腹には新たな命が息づく予感がある・・
不老不死ではなくなってしまったけれど代わりに私は
愛するライザール様の子を成すことができるようになったようだ・・
いずれ来る日がくれば私は母になれるだろう・・
それはどんな魔法よりもすばらしいことだわ・・
だけど「もしもの時」はお力添えをくださいね・・
だからそれまでは・・ゆっくりとお休みください
店主様・・どうかよい夢を・・
とても気まぐれな方だから、叶うかはわからないけれど
私は心の中で店主様にしばしの別れをつげたのだった。
おしまい
この後はシリーンは登場しませんがエピローグとなります。