それは店主様に命を奪われた57人の妹達の声だった。

 

ああ・・そうだわ・・なぜ今まで忘れていたのかしら・・

 

一度見たものはけして忘れないのに・・

かつていた研究所にあった店主様の部屋で見た光景だった。

 

あの方は癒しを求めておられたからこそ私達を作り出した。

人型だったのは店主様の気まぐれでしかないと思っていたけど・・

 

それはおそらく・・「愛」という概念が錬成に不可欠だったから・・

 

本来の目的は究極の魔法を生み出すためだったはず・・

それに関するいくつもの文献を読んだ時のことを思い出した。

 

ああ‥確かあれは・・・けれど私の髪をもってしても生み出せるかどうか・・

 

それは世界を構築するに匹敵する高度(ハイクラス)な錬金術だった。

 

だけど逡巡するうちにも形勢は不利になっていく。迷っている暇はもはやなかった。

 

「ルト!カルゥー!・・力を貸して!しばらくでいいから店主様を足止めできる?」

 

「ああ!まかせておけ!」

 

「カルニャン」

 

私に呼応するように一人と一匹が息ぴったりの連携で店主様の動きを止めるべく応戦する。

 

カルゥーもまた頭部や尻尾を増やし鞭のようにしならせた尾で攻撃と防御をしたりあるいは目にも見えない素早さで突進してゆく。

まさに臨機応変に駆ける変幻自在の使い魔だった。

 

うまく弱点をつけばしばし相手の行動を牽制することができることに気づいたルトのファインプレーだった。