ルトは私を抱き寄せると感謝のこもった眼差しで見つめた。
「本当にありがとう・・シリーン。俺は随分お前に助けられたようだ。この先にたとえ何が待とうとも最後まで見届けて欲しい」
ルトのその眼差しはとても静かだったけれど強い決意がにじんでいた。
「ええ・・貴方なら真実を手にすることが必ずできるわ。最後まで私もお供しますから」
抱き合ったままキスを交わす。その命の高鳴り・・
ああ・・かけがえのない人だわ・・
だけど勝負はこれからだったから私達は服を着て準備を整えた。
それから私はルトからこの国に古くから伝わる伝承を聞かされたのだった。
砂漠に出現する幻の塔を制した者はこの国を統治する王になれるのだと・・
ほとんどの者達はただの伝説にすぎないと笑い飛ばしたけれどルトは信じたのね。
そして己を試すために私に会いにきてくれたわ。そんな貴方だからこそ私も全力で手助けしたいのよ?
「シリーン‥見ろ!階段がある。あれを使えば二階に行けるだろう」
地図を確認すると確かに2回の内回廊へと行けるようだった。
大浴場から階段を駆け上り内回廊へと至ると、私達を待っていたかのように回廊に燭台が灯った。