噴水の間から続く門の扉は固く閉ざされていたが壁の一か所が崩れて通れるようになっていた。
覗き込むとそこは回廊が取り囲んだ場所だった。大きな窪地になっている。
「ここはなにかしら?」
「さあな。用心にこしたことはないが・・ほら、来いよシリーン面白いものが見れるかもしれないぜ?」
??
ルトはなにか察しがついているみたいだけど・・
覚悟を決めて室内に一歩踏み込むと状況が一変した。
見る間にひび割れが補修され回廊は燭台が灯され美しく磨かれた見事な群青色のタイルが床に敷き詰められていく。
そして極め付きはそこかしこにある猫を模した像という像からなにか熱いものが吹き出し見る間に溜まりそれは見る間に満ちてゆく・・
「やはりな・・俺も見たのは初めてだがどうやらここは「風呂」のようだな。身体を清めたり疲れた体を癒せる場所だ。俺達庶民は「蒸し風呂」が一般的なんだが。この砂漠の中でこれだけの湯を確保するとはどんな仕組みなんだ・・」
風呂・・?
生まれてこの方一度も聞いたこともない言葉だった。無理もない、なにもせずとも穢れとは無縁だったのだ。身が汚れたこともなく体は常に隅々まで清められていた。
ルトに抱かれたけど彼を汚いとも思わなかった。
「興味あるなら試しに入ってみるか?」
ええ!ぜひ!!