それからルトに誘われバザールを散策しながら店をひやかした。
「ほら、食べろ。ここのはけっこう美味いぞ」
まじまじとルトに渡されたものを見た。
これが食べ物・・?
人は食べなければ飢えて命を落すという・・
だけど私はこれまで一度も食べたことなんてなかった・・
「?食べないのか?」
不思議そうにこちらを窺うルトに微笑むと私は思い切って一口食べてみた。
そして初めて食べ物が美味なものだと知ることになった。
まるで飢えた人のように私は食べ物を口にする・・
ああ・・これでまた一つ私は人に近寄れた?
だけど咀嚼して飲み込むのは思ったよりも難しくてむせてしまったら、ルトが背を優しく撫でてくれて飲み物が入った瓶を渡してくれた。
一口飲んでみるとそれは気持ちが浮き立つ何かだった。
![]()
頬がカッとなる・・だけど飲むと頭がくらくらしたから足がふらついてしまったらルトが抱き留めてくれた。
「おっと・・お前には刺激が強かったか?すまないなシリーン。待ってろ・・そこの井戸で水を汲んできてやるからさ」
私を樽に座らせたルトは足早に行ってしまう・・
ああ‥待って行かないで・・
だけど身体が重たくて動くのが億劫だった。