それから数日間ルトはめっきり姿を現さなくなった。

原因に心当たりはあった。

 

私、知っていたわ・・貴方がこっそり眠る私の髪を一房切り取っていたことを・・

 

だけど・・知りながら私は貴方を咎めなかった。

 

私の髪は金色・・それはまさに黄金の輝きだったから・・

下界では黄金は驚くほどの価値があるらしい・・

 

貴方のくれた手鏡も口紅もマニキュアも元は私の髪が人の手に渡りそれらの品になったものだった。

 

だけどプレゼントしてくれる貴方の気持ちが嬉しかったから・・

なにも言えなかったの。

 

下界では全てのものは金がないと手に入らないそうだし、人々はみな技能を磨き労働を経て金を手にしてるという・・

 

だけど私はこの場所で何百年もそんな人の営みを知ることもなく微睡んでいただけだった。

 

そんな私に貴方を責めることなんてできない。

 

だからたとえ私の髪が目当てであってもいいから私を捨てないでルト・・

 

 

ああ・・穢れが私を蝕んでいるのだろうか・・だけどルトへの想いを失うことの方が辛かったから穢れを受け入れようと思う。

 

そしてある満月の晩のこと‥私は塔を抜け出したのだった。

 

 

満月