そうしたらルトは自分の身に起きたことを話してくれた。
ルトも昔お母さまを失ったのだと教えてくれたの。貴族の罪をかぶり処刑されたそうだ。
罪のない女が処刑されてしまう、
そんな理不尽な世を正したいと思った彼の原点。
私も母を失って同じ痛みを抱えていたからルトは側に置いてくれたのかもしれない。母親は幼子にとって世界そのものだから。
ルトのお母さまは教養のある方で、ルトも熱心に私に読み書きを教えてくれた。
もちろん私だって家庭教師がいたけどルトの方がずっと教え方が上手かったわね。
私の母は踊り子だったから踊りを教えてくれた。「相応しくない」ってしかられるから皆には内緒でね。とてもたおやかな女性だったわ。
だからか私もどうすれば美しく舞えるのか、本能の欲するまま踊れたの。
殻に閉じこもり続けていた私だけどルトの強さを見習いたいと思うようになった。
いつしか儚く散った母ではなく己で悲しみを克服したルトが私の
心の師になっていた。
最初こそあまり口をきかなかった私だけどルトと意思の疎通がしたくて積極的に学ぶうちに勉強の楽しさを知ったの。「よくできた」って褒めてもらうことも嬉しかったけど、なによりわかることが増えたことで知識を身に着ける大切さを学べたのだ。
女にも教養は大事だっていうルトの教えは嬉しかった。
私の家庭教師は礼儀作法ばかりしか教えてくれなかったから。
私を探す人もいなくて、ルトとの生活に馴染んでいつしか母を失った寂しささえも薄れ始めた。
朗らかなルトだけど人の痛みにも敏感で思いやりのある彼に徐々に私は惹かれていった。
初めて彼の前で笑顔を見せた時、ルトはハッと驚いた顔をしたけどすぐに喜んでくれて私の頭を優しく撫でてくれた。
ルトの大きな掌の感触に子供心に嬉しくて・・それから私は時折笑顔を見せるようになった。