そして彼の全てを受け入れた瞬間、私の中で何かが弾け飛んだ・・

 

それは私を縛っていた呪だった・・

 

だけど本当はそれは呪いなんかではなく、ある種の保険だったのだと思う。

 

愛を追い求めるあまり失ってしまうものもあるから・・

 

ほら、恋は盲目というでしょう?

若くて未熟な私が衝動で選択を誤らないように・・

私がけっして後悔しないように葛藤する時間を設けてくれたんだって・・

 

だけど私は様々な可能性の中から唯一の愛を探し求めた。

 

日記の紙片に頼らなくても最初から私は真実を知っていたの。

僅かな迷いが私の眼を塞いでいたけど・・・

 

心の中で私は瞼を覆っていた自分の両掌をそっと外し真実を恐れずに見つめた・・

 

心を決めた今の私ならば貴方に真実の名前を返してあげることができるわ・・

 

「――ルト」

 

DASH!

 

本名を呼んだ瞬間、ライザール様の中から魔神の力が抜け出しムスク薫る煙となって魔法のランプへと吸い込まれた。私の影に潜んでいたカルウーも形を失い同じく煙となりランプの中に吸い込まれてしまった。

 

ランプはしばらく騒いでいたけどやがて形を失い光の環になりそして私達を優しく包み込んだ。

 

9年ぶりに人に戻ったルトは年相応の青年に戻っていた。

威厳は相変わらずあったけど、陰鬱さは消え去り血の通った姿に胸が高鳴ってしまう。

 

ああ!ルト!!ルトだわ!

 

「シリーン!!・・ああ・・夢みたいだ・・私を救ってくれたのだな・・

感謝するありがとう・・」

 

私を抱き寄せた彼の心臓は強く脈打ち私の鼓動とシンクロしていた。

 

熱く力強いたぎりが二人を繋いで喜びが包み込む。

 

「ルト・・貴方を感じるわ・・嬉しい」

 

だけどその充足感がたまらず愛おしい

・・女でよかったって実感した。

 

じんじんと疼く身体の奥まですべて蕩けるみたいだった。

その喜びをもたらしてくれた感謝をすべきかしら?

 

私だって彼を欲しかったし彼に喜んで欲しくて・・愛したくて唇や手で彼に触れたらサッとルトの頬に朱が差した。

 

ふふ・・恥ずかしがるなんて貴方らしくないわ。

 

唇を舐めてからかうように覗き込んだら「こいつめ・・どこでそんな技を覚えた」って憮然としたルトにキスされてしまった。

 

まさか私がルトに妬かれるなんて。