※ライザール視点です
だが魔法のランプは残酷だった。
私は代償を支払い魔神を解放する代わりに私自身が魔神へとなり替わった。
ではもしただの娘であるシリーンが己の身を捧げた場合どうなると思う?
私は自由を得るが代わりにシリーンが命を落す。そんなこと許せるものか!!
王女であれば全ての呪いを無効化できるものを・・だが私の愛はシリーンだけのものだ。
そんなジレンマをどう伝えればいいのか・・どれだけお前を欲しても抱くことはできない。
いや抱くことはできるかもしれないが、私は解放を望まぬしそれをお前にも求めない。私は魔神のままで、人として限りあるお前とともに歩むことはできぬし、私の行動如何はすべて主の支配下にある。
取り戻せるだけで良いと思えた時もあったが、いざ取り戻してしまえばどんな形であれ失うなんて耐えられなかった。
彼女は相思相愛になれたら全てを捧げても良いと言ってくれたが、愛すればこそ抱くことは躊躇われた。
正統な王であるライザは世継ぎを欲したが、もし私が他の女を抱けばシリーンを傷つけてしまうだろう。だが「主の願い」は絶対だった。
くそっ! 私はいったいどうすればよいのだ!
あらゆる欲望が渦巻きシリーンを求めながらも、彼女を愛すればこそ耐えなければならない。
シリーンを救うためにランプの魔神になったというのに・・ランプの魔神の契約に縛られているからこそ彼女を失うかもしれない・・
いくつか方法はある。
禁忌を犯し主の命を奪うか、王女を探し出しライザが王女へとランプを継承すればライザが与えた命令を全て無効化できる。
だがそれも王女次第だ。魔が差しそうになったこともあったが、
正しくあらねば魔神になった意味がない。