痛く辛くて寂しい・・そんな感情がぐちゃぐちゃになって世界を喪失してしまいそうだったから・・
だって「彼」がいなくて・・二度と会えないかもって思えば怖くて・・
死すら覚悟した。
長い間忘れていた喪失感がよみがえりそうになってしまう。
気づいたら涙が滴って湯にぽちゃんぽちゃんと波紋を作っていた。
「・・・すまない、嫌なことを思い出させたようだ」
気づいたらライザール様に背後から抱きしめられていた。
あ・・・
お互いに裸だったけど、その労わるような仕草にホッとしてしまう。
・・人肌の温もりがこれほど心を癒してくれるものだなんて・・
追憶の彼、そして砂漠で出会った義賊さん、そして戯れに一夜を所望したライザール様・・
その全てが私の心の欠落を埋めてくれるものだった・・
ああ・・やはり貴方は・・私の・・
ベールだってつけてないしもう完全に別人だってバレてるはずなのにライザール様はなにもおっしゃらなかった。
「私はお前の涙に報いたい・・そうでありたいと思う」
ましてそんなことをおっしゃっていただけるなんて・・
・・・・嬉しい
貴方の言葉はまるで魔法みたいに私の涙すら止める力を持つのね・・
「ごめんなさい、もう大丈夫です。貴方に聞いていただけてよかった。もう長いことずっと忘れていました。あの時、私を助けてくださった方がいたから私は生き永らえることができたのです・・感謝してもしたりませんわ」
長い間心の奥底にしまっていた感謝の言葉を、なぜか今言うべきだと思ったら自然と口をついてでたのだ。
私を抱きしめる腕の力が強くなる。
だけど気づいてしまった。
なぜこれまで気づかなかったのだろう?
鼓動を感じない・・なぜなの?
それがなんだか無性に悲しかったけれど、私はライザール様の腕に手を添えた。
今彼を離してはいけない、本能でそう感じた。
そしてそれは予感というよりもはや確信に近かいものだった。
彼こそ・・私の命の恩人なのだと・・
